眠くなる小説

最近文学と娯楽を交互に読むようにしている。まともな本をある程度読んでおきたいということもあるけれど、そういう本というのは精神的なエネルギーをかなり消費する場合があるので、娯楽小説で休憩をとるわけだ。

先日ドストエフスキーを読んだので、今はスティーヴンキングの「The Stand」を読んでいる。全五巻のまだ二巻目。

この本、段々盛り上がってきて面白いんだけど、なぜかすっごく眠くなる。退屈でってわけじゃない。もっと読みたいのに、なぜか眠くなる。

僕は大体本を読み出すとどんどん目が冴えてきて、朝まで結局眠れなかったなんてことが多いんだけど、なぜかこの本は昼間っから寝てしまう。

なんだろうなあこれは。まあ睡眠不足解消出来たから、それはそれでいいんだけどさ。全然読了数が稼げないよ。まあ稼がなくてもいいんだけどさw

でもなんか、本を読みながら睡魔に襲われてふと気づくと朦朧と夢の中にいるってのも、久々に感じる幸福な瞬間ですな。睡眠に落ち込む寸前の、意識の混濁したあの浮遊感の幸せ。久しぶりにそういう瞬間を楽しんでいます。

なんとなく今日の気分で↓




ザ・スタンド 1 (文春文庫)ザ・スタンド 1 (文春文庫)
(2004/04/07)
スティーヴン・キング深町 眞理子

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2009/11/03(火) | レビュー:本 | トラックバック(-) | コメント(4)

Eufloria:まったりゲーム

植物の種を植えて木を育て、その種子を飛ばして星を征服していく。なんだかまったりしてそうですが、結構忙しいゲームです。
でもなんか好きかも。






Eufloria体験版(4gamer.net)



2009/11/01(日) | PC | トラックバック(-) | コメント(0)

紅茶の楽しみ

元々コーヒーを飲む習慣が無く、煎茶、紅茶を良く飲む。以前は大きなティーポットにたっぷりと紅茶を作って飲むのが習慣だった。紅茶の淹れ方でよく言われるのが、カップの為にスプーン一杯の葉を足すというのがある。要はたっぷりのお湯で淹れたほうが美味しいということだ。

bodum CHAMBORD ティーポット 1.0L 1922-16-6bodum CHAMBORD ティーポット 1.0L 1922-16-6
(2009/09/30)
Bodum (ボダム)

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このポットは今でもあるのだが、一人暮らしになってからやはり量が多すぎるため、段々と紅茶を飲む回数も減ってしまっていた。

先日コーヒー好きの友人と話していると、コーヒーメーカーで一人分というのが難しいといった話が出た。確かにそうなんだよな、紅茶も同じだわと思っていた。一杯用のコーヒーメーカーってないのかな?と思って探してみると、案外沢山ある。でもまあ僕はコーヒーには詳しくないので、どれがいいやら全然判らなかった・・・。

ふと、一人用の紅茶ポットというのはないのかな?と思って探してみた。良くある円筒形の葉を押しつぶすタイプは好みじゃない。というのは、押しつぶすときに不要なえぐみが出るような気がするからだ。もっとシンプルなものは無いだろうか。

ということで見つけました。

ロンドンティールームオリジナル ティーマグ(茶漉し付、一人用)ロンドンティールームオリジナル ティーマグ(茶漉し付、一人用)
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ロンドンティールーム

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カップにぴったり合わせた茶漉し付きのセットです。もちろん最初に書いた大きなポットで淹れるのが一番美味しいにきまっているのですが、このセット、多分しっかり葉が対流しそうだし、案外いいんじゃね?という事で、買って見ました。

でこれ、悪くないですよ。ちゃんと淹れられます。とりあえずトワイニングのダージリンで試してみましたが、いけるいける。これなら気軽に一杯づつ淹れられるしね。

・・・なんですが。このマグが小さい!250ccくらいは飲みたいので、もっと大きなマグがいいなあ。この茶漉し使えば大きいマグでもちゃんと美味しく淹れられそう出し。

という事でマグも新調することにしました(笑)

ingradelmg.jpg

だったら茶漉しだけでよかったんじゃね?   ・・・・・   

ちなみに僕は「ダージリン系(リーフ)」と「アッサム系(ブロークン)」を2:1で混ぜるのが好きです。味も香りも両方欲しいということで。2分20秒くらいにしてます。

折角手軽なセットが手に入ったので、今日はカモミールも買ってきました。やっぱお茶のある生活はいいですな^^

2009/10/29(木) | 日記 | トラックバック(-) | コメント(2)

カラマーゾフの兄弟(全5巻):ドストエフスキー

さてドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」、10日かけてじっくり読んだ。ロシア文学は日本語になりにくく非常に難解といわれているが、本作は新訳物で非常に読みやすかった。

世界の名作ベスト50などには必ず登場する歴史的な名作であるが、僕自身はドストエフスキーは初めて読んだ。これは確かに、文字通り世紀の名作だと思う。

女好きの父親と、その血を引く3兄弟。愛情深いが酒に溺れやすい長男、無心論者で理論派の次男、信心深く修道院に入った三男と、それぞれ異なった性質を持っている。父親が欲する若い女性、兄弟それぞれの愛する人、友人、師など様々な人物が登場する。ロシア正教を背景に、ローマカソリック、台頭しだした社会主義、無神論者など思想面でも多くの対立を登場させている。この小説の描く時代は帝政ロシア末期であり、農奴制が廃された直後という事になっている。

文章の80%は会話である。それぞれの立場で主義主張、感情、内的精神風景、宗教批判、神への信仰、法学論が主張・告白される。

1,2巻は小さなエピソードを積み重ねながら、登場人物の人となりや性質を詳細に描くことに当てられている。3巻以降殺人事件が起こり、4巻ではその裁判が行われる。5巻は短いエピローグと充実の解説となっている。こう書くと1,2巻を読むのが苦痛のように思うかもしれないが決してそんなことは無い。翻訳が素晴らしく、登場人物の真情の告白は大変真に迫り、読んでいて全く飽きることが無い。深遠な人間描写を、しかも面白く読ませる。

リアルな信仰体験かあるかと思えば、徹底的なキリスト否定もあり、酩酊者の見る光景や感情の起伏、恐怖、喜び、大衆の偏見、憎しみゆえの偏執などなど、あらゆる人間の様態を計算され尽くした構成で無理なく読ませていく。ドストエフスキーは稀代の天才だ。

「大審問官」という逸話や、裁判における検察官の論告、これに対する弁護人の論告などは、感動の余り涙が抑え切れなかった。

余りに内容が濃く、しかも深遠であり、簡単には感想を書くことが難しいが、この本はこの先何度も繰り返して読みたい本だ。解説も非常に優れているので、ドストエフスキーの思想の変遷や、この物語に込められた思いや時代背景について、より理解を深めながら、将来に渡って味わって行きたい作品である。

ああ確かに世界最高の小説と言われるだけある。これは文字通り物凄い作品だ。

追記:
本編中でも判りやすく説明してはあるが、出来ればいくつか有名な聖書の逸話を知っているとベターだと思う。
創世記:天地創造
ユダヤ民族の40年間の放浪
荒野の誘惑
父と子と精霊(三位一体)

(10-16/139)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
(2006/09/07)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
(2006/11/09)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
(2007/02/08)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
(2007/07/12)
ドストエフスキー

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カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)
(2007/07/12)
ドストエフスキー

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2009/10/28(水) | レビュー:本 | トラックバック(-) | コメント(0)

Windows7

7dt.jpg



PCの話を書くのは久しぶりだが、Windows7が非常に良いので少し書くことにする。

【前段】
世界中の殆どの人と同じように僕はWindowsXPファンだった。Windows2000の後継として卓越した安定性と、2000から改善されたユーザーインターフェイスは完成していた。わざわざ評判の悪いVistaに乗り換える必要は感じられなかった。

ところが昨年10月にPCが壊れてしまった。もう一年前のことなので詳しく覚えていないが、当時の印象としてはマザーボートがいかれたという感じだった。全く起動しなくなってしまった。

僕は1995年、Windows95発売直前に、Windows3.1からPCを触り始めた。当時はプラグアンドプレイもないし、ちょっと凝った作業をするにもMS-DOS6.2を扱えなければ何も出来なかった。Windows95のBeta版をNiftyServeが提供したとき、Niftyサーバがダウンした場面にも出会っている。初めて買ったPCはEpsonDirectのエンデバーシリーズで、当時最速CPUであったPentium75mhzだった。メモリは拡張オプション最大の16mbだ。隔世の感がある。それから今年までの14年で12,3台のPCを買っている。ほぼ年に一台だ。

ところがXP以降PCを買い換える必要がなくなってきた。余りのハードの性能アップによって、余程マニアックな使い方をしない限り、PCは3年でも、少し我慢すれば5年でも使えるようになってきた。だから昨年まで使っていたAthron3ghz(だったかな?)は既に2年使っていたし、たまにメモリを買い足したり、グラボを差し替えたりすればまだまだ使えると思っていた。

ところがハードが壊れてしまった。

という事で丁度一年前に仕方なくPCを新調した。今のPCはCore2Quad9550、RAM4GB、HDD1TB+旧マシンのHDD500GB、GeForce9600GTという構成になった。OSは迷ったがVistaを載せた。

で、Vistaがどうだったかというと、僕が購入したときは既にSP1が出ていたので、安定性も互換性も申し分なく、ただインターフェイスに暫く戸惑ったけれど、まずまずいいOSだった。

【本文】
で、Windows7はどうか。

これはですね、なかなか凄いOSですよ。MSの直販サイトからダウンロード版を買ったので13000円でしたが、とにかく体感で速い!Vistaのアップデートに過ぎないなんて話もありますが、まあ確かにそうかも知れませんが、方向性はVistaのままですけど、細部に渡って凄いチューンがされています。普通のオペレーションからして前々速い。

派手な新機能はありません。全部地味です。でも「ここにこういうメニューが出てくれたらいいのに」と思うところに出てくれる。かゆいところに手が届いてる。しかも何をしても速い。

例えば・・・
ガジェットが好きなところに配置できたらいいな・・・
デスクトップの背景が10分おきに切り替わってくれたらいいのに・・・
同じ種類のファイルを、一箇所で全部見れないの?・・・
なんてのが実現されてます。

それと、デスクトップバーの右クリックに履歴が残る、しかもそれを固定できる、ってのは、シェルとして非常に使い勝手がいいです。

ネットからファイルダウンロードする時にm「名前を付けて保存」する為に、保存フォルダを変更したりファイル名を確認したりしている最中に、既にダウンロードファイルの先読みをしているっぽい、とか、稼動サービスを覗いてみると半数くらいの「その瞬間には必要ないサービス」が停止されているとか、非常に細かいチューンがされているのが判ります。

【評価】
メリット
・非常に作りこまれてます。これはMS史上最高のOSだと思います。
・速いです。しかも、DirectXを使うゲームのFPSが上がります。これはメモリー管理の向上によるものだと思いますが、リネージュ2が目に見えて速く動くようになりました。
・互換性抜群。MSの互換性チェックプログラムでダメだし食らったソフトも全部正常動作しています。Sonar8もEdirolUA101もPCR500も、RazorMambaマウスドライバも、IO DATA mAgicTvも、iTubes全部ちゃんと動きます。
デメリット
・Windows7にはメールソフトが付いてきません。MSサイトで「Windows Live Mail」というのを無償ダウンロードできます。7へのアップデートでメール環境移行なんて考えもしなかったので僕はかなり手間取りました。予めデータエクスポートなどしたほうがいい様です。手順はMSサイトにあります。僕はVistaバージョンのWindows Live Mailがインストされてたのですが、正常に環境移行されませんでした。再度7用のWindows Live Mailを入れて、メッセージストアをインポートしたり以前のWab.exeからアドレスエクスポートしたりとか、数時間かかりました。
・インストール時間が異常に異常に異常に長い!
僕の場合HomePremiumのアップグレードでしたが、1:45かかりました。長すぎ!

【結論】
・買いです。間違いないです。とにかくさくさくです。Direct3DのFPSまで上がります。
・メールだけは移行準備をしましょう。その他はほっときましょう。
・出来れば64bitPCを新調して、64bit版OSにしちゃいましょう。
・インストールは休日にのんびりやりましょう。


2009/10/24(土) | PC | トラックバック(-) | コメント(0)

ヴィヨンの妻 - 桜桃とタンポポ(映画)

太宰治原作「ヴィヨンの妻」を見に行った。映画館に行くのは「剣岳 - 点の記」以来久しぶりだ。

僕は太宰は一冊も読んでいないので、原作との相違点は判らない。しかしこの映画を見て、なんとなく太宰という人の持つ雰囲気に触れたような気もする。

作家である夫は酒におぼれ、自分は死んだほうがいい人間なのだと常々思い悩む。(だったらさっさと死ねばいいじゃん、回りに迷惑掛ける前にさ、と思わずに居られない。)その嘆きをあちこちにぶつけながら、知人の厄介になりながら、大して金も稼がずに酔いどれている。仕舞いにはいつも世話になっている行きつけの飲み屋から金まで盗んでしまう。自分では立ち直れず、酒におぼれ、言い訳ばかりしているこの情けない男を、浅野忠信が好演している。

嵩んだ借金を返済するため飲み屋で働き始める妻。人当たりのいい応対が人気を呼び、飲み屋は繁盛する。思いがけず自分の能力を見つけた妻は、借金返済のためとは言いながらも仕事にやりがいを感じ始める。この妻を松たか子。

やりがいを見出した妻を見て、更にいじける夫。妻に心を寄せる若者の登場。ますます鬱に入る夫。そして夫は愛人との心中に走る。

主人公はタイトルどおり妻である。情けない夫を、しかし夫として愛する妻の強さと、覚悟と、決意。女は強いなと思わずに居られない作品。ここまでダメな男ってそんなに居ないだろ、幾らなんでも別れちゃえば、と思わなくも無い。ただ、ここに、彼女のプライドが見える。あたしの人生はこの人を選んだのよ。それを全うさせてよという意地と信念がある。間違ったかも知れないけどあたしは貫きたいのよという思い。それは果たして愛なのか非常に疑問ではあるが・・・女は強い。

浅野と松の演技はなかなか良かったと思う。「助けてくれよ」と妻に無きすがりながらくず折れる夫、しかしくず折れながらも妻の服を脱がしにかかる。泣いているかわいそうな俺を冷静に見つめながらも、体を求めてちゃんと手が動いてるというのは、如何にも男にありそうな情景だ。リアリティがある。しかも脱がされる妻も、そのずるさを判っていて尚且つそれを許す。その「判っているけど許す」表情がきちんと出ている事に感心した。松たか子うまいじゃん。

さてこの映画、女友達と見に行ったのだが、彼女の感想は・・・「ああ、男ってみんなああだよね、めんどくさいよね〜、色々どうでもいいこと考え込んでさ〜(でも男ってそういう生き物だわな・・・)」

・・・・・それが正しい感想なのかも・・・・・・。



http://www.villon.jp/

2009/10/20(火) | レビュー:その他 | トラックバック(-) | コメント(3)

読書について

小学4年の頃だったろうか、親は月500円の小遣いのほかに、好きな本を毎月一冊買ってよいと言った。読書を教育の一環と考えたのであろうし、そろそろ読書に親しむ時期と考えたのだろう。

両親とも読書家で、普通皆が知っている文学と呼ばれる作品は、常識として読み終わった状態にあったようだ。母親は過去にあららぎの会員でもあり、俳諧の才能もあった。

最初に僕が一生懸命読んだのは、子供向けにやさしく書き起こされた、アルセーヌルパンシリーズであったと思う。単行本で安くは無かったと思うのだが、毎月新しい物語を心待ちにしたものだ。

その後中学生となって僕の本好きは本格的となった。父親は一通りまともな文学は読み終えていて、娯楽小説を気楽に読む時期にあったようだ。ハヤカワNV、SFが多かったように思う。NVでは戦争物、スパイ物、サスペンスなど。例えばアリステア・マクリーン(ナヴァロンの要塞など)や、フレデリック・フォーサイス(ジャッカルの日など)。SFではアイザック・アシモフやアーサー・C・クラークなど。父親の蔵書から目に付いた本を取り出しては、自分の読了リストに加えていくのが楽しみだった。自室の鴨居の上に棚を拵え、読了した本を並べて悦に入っていたものだ。最も読みふけった時期には、日に3,4冊を読んでいた。

その後、大学の一時期を除き暫く読書熱は冷める。

最近では、3年前に同門冬二の講演を聞いたことがきっかけになっている。氏の講演は勤務先が主催したものだったので、自署の入った本を贈ってくれた。その中で「上杉鷹山」を読んだ事が、読書熱再燃の契機だった。

日本の時代物はそれまで僕の未開拓分野であって、それはいまひとつ興味が沸かなかったことに起因するのだが、同門作品を幾つか読んだ後、暫く時代物を読んでみようと言う気になった。次いで手に取ったのが池波正太郎の真田太平記であったろうと思う。この作品はいつか再読しようと思っているのだが、読んだ当初は幾つかセンスの会わない部分が感じられたものの、素晴らしいエンターテイメントであった。

その後池波の鬼平、剣客、仕事人シリーズを一気に読み、北方の水滸伝や南北朝物を読み、司馬遼太郎を読んで自分には合わないと思い、吉川栄治と北方謙三の三国志を読み比べ、中国小説に魅力を感じて宮城谷昌光に傾倒し、西洋歴史小説も読んでみようと佐藤賢一をかじり・・・と読書の幅が広がってきた。

今年は藤沢周平と宇江佐真理を沢山読んでいるが、最近は大衆小説ばかりではなく、いわゆる文学と呼ばれるものも読んでおこうという気になっている。

トルストイは一時期好きで沢山読んだものだが、ドストエフスキーは読んでいない。という事で今は、世界最高の小説は何かという議題では必ず候補のひとつに挙げられる「カラマーゾフの兄弟」を読み始めている。その後は一旦娯楽小説で息抜きをしようと思うので、スティーヴン・キングを読もうと思っている。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
(2006/09/07)
ドストエフスキー

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いいアルバムに出会うと、そのアーティストのルーツや興味に影響されるように、小説もその描かれた時代や作家の経歴などから、次に読む作品を紹介してくれるような力がある。この広がっていく目に見えない力がまた、面白い。

2009/10/19(月) | 日記 | トラックバック(-) | コメント(0)

華麗なるギャツビー(映画)

先日フィッツジェラルドの「グレードギャツビー」を読んだので、折角だから映画の「華麗なるギャツビー」のDVDを買ってみた。僕はロバート・レッドフォードがすきなのだ。

この映画、前半はかなり原作に忠実だ。中盤以降脚本が自己主張を始める。この映画の脚本はフランシス・F・コッポラらしい。古い映画だから、大衆に判り易く劇的にという意図が見えるが、まずまず良い出来ではないだろうか。原作の雰囲気や言いたいことを、最低限守っている。

しかし、語り部である主人公が初めてギャツビーに逢う場面はいただけない。案内する家僕の不敬な態度も、原作では有り得ない無礼さだし、それがギャツビーその人の価値を損ねている。原作のギャツビーはそんなへまはしない。安易な演出といわざるを得ない。

語り部のキャラも描き方が二の次でいただけない。ギャツビーとデイジーの恋にまつわる人間模様を、語り部である主人公が冷静客観的に眺めているという視点が、この小説の肝であって、観察者の価値観がしっかりしていないと、物語の信憑性が失われる。だから、語り部は、冷静で常識的であり、富裕層の非常識を断ずる価値観を持っていなければいけない。それで無ければ読者の共感を得られないだろう。映画ではその肝心なポイントが抜けている。

ただ、これも原作を知らない人に向けた映画と考えると、ギャツビーの神秘性を高める狙いなのかもと、思わなくも無い。映画としてはあの時点で不可思議さを強調することは、正解なのかも知れない。

ということで、この映画、原作をしっかり読んだ僕から見ても、まずまず及第点だと言っておこう。先に原作を読んでも、それほどがっかりさせられない。

が、最大の弱点は・・・

ギャツビーが恋焦がれるデイジーのキャスティングが悪い。ギャツビーが命がけで惚れた相手が、小説ほどの魅力が無い。こんな女に命を掛けたのかと、ギャツビーの思いそのものが軽く見える。魅力がないのだ。原作では特に、デイジーの声の素晴らしさを強調している。男が盲目的にそそられる声というのがある。せめてそのくらい再現して欲しかった。

まずまずいい映画だ。原作を改変しているところも沢山あるが、概ね趣旨を違えていない。唯一の問題点は、デイジーに魅力がないことだ。これは致命的かもしれない。レッドフォードは完全にはまり役だと思う。おしい。

もう一つ、あえて言えば・・・この原作は、決して取り返せはしない過去の恋愛を、8年間も信じ続けた男の、その純情の空しいことの悲劇を描いているわけで、その切なさややるせなさが、映画には無い。主題が描けていない。そういう意味ではこの映画は失敗作と見る人もいるかもしれない。僕はまあまあ良い方だと思ったが、人によるだろう。

それも、ヒロインの魅力の無さが原因だと、まとめてしまってはかわいそうだろうか。


華麗なるギャツビー [DVD]華麗なるギャツビー [DVD]
(2008/06/20)
ロバート・レッドフォードミア・ファロー

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2009/10/19(月) | レビュー:その他 | トラックバック(-) | コメント(0)

おでいと - 晩年の父・犀星:室生朝子

室生犀星の杏っ子を読んで、この杏っ子のモデルである犀星の長女、室生朝子がどんな人であったか興味がわいた。調べてみると文筆家である。著書の中に本作「おでいと」がある。室生家では、男女を問わず誰か親しい人と町へ出かけるようなことを「おでいと」と言ったのだそうだ。室生朝子にとっては、父室生犀星との楽しい外出のひと時を象徴する、やさしい言葉であったのだろう。

室生犀星と長女朝子の関係は、親子でありながら友人であり恋人であるような、とても愛情に満ちたものだったようだ。その事は「杏っ子」にも良く表れているが、この「おでいと」では更にその事が良く伝えられている。

室生犀星の晩年、肺がんを患い徐々に生命を失っていく父の、その最後の呼吸までを見つめた娘の回顧録である。

死を正面から見つめざるを得なかった苦しみ、家族の心労、父であり友人であり最愛の恋人でもあった男を失うことの虚無感や悲壮。本人が文筆家であるだけに、一層その表現は迫るものがある。犀星の人となりがとても良く書かれていて、それは作者の意図するところであろう。健康な状態の犀星がどんな習慣を持ち、どんな価値観で生きていたか。癌に衰え行く闘病の中で如何に振舞ったか。室生犀星という人間を余さず書き留めたかったのであろう。

父犀星の死後弟を食道癌で失った話を、これは三人称の小説として綴った「弟の死」と、この弟の娘、犀星の孫による、当時の室生家についての邂逅が併録されている。

室生犀星ファン以外にこの本を手にとる人はいないだろう。父と弟の死を綴ったこの本は、父譲りのやさしく美しい文章によって儚く清らかな空気を帯びてはいるが、やはり重い。家族の死への慟哭に満ちていてやりきれない。しかし誰もが向き合う普遍の出来事でもある。そして犀星という一人の偉大な詩人の、生き様の一端を窺い知る事で、愛情にも似た余韻を残す本である。

それはとりもなおさず著者の愛情の深さ故であろう。

(10-11/134)


おでいと―晩年の父・犀星おでいと―晩年の父・犀星
(2009/07)
室生 朝子

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2009/10/18(日) | レビュー:本 | トラックバック(-) | コメント(0)

潮騒:三島由紀夫

丁度日が昇った。朝焼けを見るのは久しぶりだ。酒もやらず、心行くまで本を読んで夜を明かすというのも楽しいものだ。

先日三島由紀夫の金閣寺を読んで、その内的探求の奥深さに感銘を受け、一方では疲労を覚えた。もう一冊くらい三島を読むかと思ったが、重い作品を続けて読むことを避けようと思い、この潮騒を手に取った。

この作品は古代ギリシャで創作された「ダフニスとクロエ」という恋愛小説を日本版に再構成したものだとの事だ。清々しく健全で、嘘や裏切りがなく、純粋で闇の無い恋愛小説である。あまりの健全さに心が洗われる様だ。

解説に、なぜ三島がこの時期にこの作品を綴ったのか考察されている。この考察も含めて味わうのが良いと思う。比較のため、本歌である「ダフニスとクロエ」を読んでみたいものだ。


(10-10/133)

潮騒 (新潮文庫)潮騒 (新潮文庫)
(1955/12)
三島 由紀夫

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2009/10/18(日) | レビュー:本 | トラックバック(-) | コメント(0)

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